マインドシーズでは、2024年パリ五輪出場を目指す「吉田紗弓」選手を応援するためスポンサーを務めることになりました。
吉田紗弓選手について
プロフィール
出身:愛知県あま市
学歴:愛知高校(陸上部)
立命館大学(スポーツ健康科学部)
免許:中学校教諭1種免許状(保健体育)
高等学校教諭1種免許状(保健体育)
種目:陸上競技(100m・200m・400m)
自己ベスト:100m 11秒66 / 200m 23秒65 / 400m 54秒11
実績:2014年 山梨IH 4×100mR 5位 / 4×400mR 4位 (高2)
2015年 和歌山IH 400m 8位 / 4×100mR 6位 (高3)
2018年 日本選手権リレー 4×400mR 優勝
2019年 日本選手権リレー 4×400mR 優勝
2020年 日本選手権 200m 8位
2021年 日本選手権 200m 8位 / 400m 8位
2023年 日本選手権 200m 7位
吉田紗弓選手へのインタビュー
コーチとの出会いで現状の壁を超えた
――本日はお時間を頂きありがとうございます。今の種目で世界を目指すきっかけを教えてください。
今のコーチと大学の卒業間近に出会いまして、それまで自分自身が考えて陸上をしたり、こういう動作がこの走りにつながるなど追求せずにひたすら走ってきたという形だったのですが、(今のコーチに出会って)骨盤の動かし方含めて初めて自分の体と向き合いました。
それで陸上競技を再スタートし始めてから結果がついてきまして、日本選手権に出場できなかったのが出場でき、そこで入賞という経験をさせてもらって、それによって日本のトップで戦えるという自信がついてきまして、もうちょっと上の世界を目指してもよいのかなと目線を上げられたのがきっかけです。
――なるほど、コーチの方は最初から吉田さんならいけるという感じだったのでしょうか。
いや、その時はなんというか、はっきり言うと「ここまで伸びると思ってなかった」みたいで(笑)。
だんだん結果も出てくる中で、コーチもパリオリンピックを目指すと言い始め、私もそうだなと。
そして二人でずっと何年も前から練習をしてきました。
オリンピック後、教員として何を伝えていくか
――そんな吉田さんですが、オリンピックを目指した後は教育者(中学・高校の教員)になられるということで、体育の中で伝えていきたいことや今後ご自身にできることは何だと考えますか?
そうですね。最近は五輪強化選手に選ばれている自分としての責任の重さや、そういう立場でどのような影響を与えることができるのかを自分自身で考えるようになってきました。
生徒たちにはやはり自分の好きなこと、自分の興味のあることにチャレンジしてほしい、その上で自分には向いてなかったとか、これだったらいけるのかなとか新たな自分を見つけてほしいということをまず伝えていきたいと思います。
――教員として夢や挑戦を伝えるというのは、なかなか今の成熟してる日本において難しい面もあると思います。
一般的にそこそこ恵まれている環境でもあって、別に困っていることもない一方で、ハングリー精神もあまりないかもしれないというとき、チャレンジをしましょうと単純に言われても「いや、それは吉田さんだからできたんですよね」と言われる可能性もある。
そんな中、ご自身だからこそ伝えられることはありますか?
教師という立場で上から何か言うというのが私はすごく嫌で、教育現場に入ったからには生徒たちと一緒に何かを目指したり、こういった方法もあったよと寄り添って、何らかのきっかけを与えられたりしたらいいなと思っています。
全員が世界を目指すようなことができるわけではないですから、確かに「吉田だからできたことだ」と思われても仕方がないとも思いますが、自分が好きなことをここまで継続してこられたこと、そこには色々な人に支えられたことも含めて、じゃあこうしてみるといいよと私の経験がその子どもたちの道標となって一緒に歩んでいけたらいいかなと思っています。
私自身について言えば、今のコーチは私が知らなかった知識を本当に沢山伝えてくれて、そこでの驚きと興味から自分がこの人についていったらどうなるんだろうという期待とワクワク感がありました。
また、私のために色々と調べてくれたり寄り添ってくれたりするところがすごく見え、この人だったら一回信じてついていこうという風に思えたんですよね。言葉にして何か言われたわけではないですけど(笑)。
私も結構短気なのでくどくどした練習が苦手だったのですが、感情の起伏があってもきちんと受け入れてくれたので、「この人はちゃんと受け入れてくれる」と思えたのも大きかったです。
――そういうコーチとの出会いが生徒たちとの向き合い方にも影響しているのは素敵ですね。
オリンピックを目指すレベルの教育を受けてきた「体の使い方に関するプロフェッショナル」という意味で、吉田さんなりに体育教育に対して示唆を与えられることはあるのでしょうか。
私自身陸上だけではなくスポーツ全体が好きなので、まずは教員という場所にしっかり戻ってスポーツの楽しさを伝えていきたいです。
私は大学の時にインクルーシブ教育※1を学んでいたのですが、例えばバレーボールにしても全盲の方がやる場合はボールに鈴を入れて音を鳴らして行います。他にも、怪我でスポーツができなくなった子がいる中でどうやってその子を巻き込んで体育の授業をするか、そういうことまで含めて私はやりたいことがたくさんあって、やはり教員になろうと決めています。
また、自分で考えようとしない、すぐに結果を求めたがる子がとても多いので、なんでここを動かすと打てたんだろうね、など疑問形で言うことも多いですね。
生徒も最初は「ん?」といった感じで、なんだか変な先生だなといった目で見られた時もありましたが、「じゃあこうしてみたらいいんじゃない?」という形にすると、「あ、打てた!」「なんかできた!」という言葉が出て自然と笑顔になってくれます。
スポーツは「苦手」と「得意」が顕著に現れる科目だと思うのですが、それは教師側の授業の進め方がかなり関係してくると思っています。
基礎を全部省いて応用でいきなり試合をするとか、いきなり打てるようにするとか、そんなことはできるはずがないと思っているので、その基礎を少しずつ回りくどいかもしれないですが、アプローチしていくとどの生徒も楽しくやってくれると思っています。
マインドシーズとの関わりについて
――今回、弊社(マインドシーズ)がスポンサーとなることに関して、支援を受けてもよいと思った理由はありますか?
また、その中で私(代表の丹羽)とお話しされて何か感じられたこと、影響したことはあるでしょうか。
いや、もう本当に大きな影響を受けました。
以前丹羽さんとお話させていただいて、時間があっという間だったのですが、一番衝撃を受けたのは、「スポーツは余裕がある人がやるもの、やる必要がないけどやるものですよね」と言われたときに「そうだな」と。
「そこを通じて何を伝えたいのでしょうか」と聞かれたところで、すごく新しい観点から自分を客観的に見られるようになりました。
今陸上競技で生徒を見ているわけですが、一つ一つの言葉がけでも何か伝えられるものがあるんだな、それだけの影響力が(五輪を目指している)自分にはあるんだなということを含め、自分が変わろうとか変わりたいとか、その瞬間に物凄く感じまして、このご縁が自分自身を変えるきっかけになるのではないかと思いました。
そういった自分の思いの中、このきっかけを大事にさせていただきたいと思い、ご支援を受けることに致しました。
――以前にもスポンサーを探していたという話がありましたが、他の企業様とマインドシーズで何か違いはありましたか?
他の企業さんも考えたのですが、マインドシーズさんから頂いた沢山の質問や言葉が大きく印象に残っています。
「吉田さんに投資するというよりは、吉田さんの教員としての将来と、それに関わる何千人かの子供たちに対して投資するんだ」と言われた時に、こんな人いるんだ、と本当にちょっと感動しすぎて、こんな人と出会えたのも自分、今まで頑張ってきたからなのかとか色々思ったりとかするぐらいでした(笑)。
――いえいえ、弊社としても、こういったスポーツの世界に支援をするタイミングはあまりあるものではないので、それ自体ありがたいと思っています。
ぜひ吉田さんにはパリオリンピックに向けて、またその後の活躍に向けても頑張ってほしいと思います。
本日はお時間を頂きましてありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。